FAQ一覧

「いぼ」の治療法を教えてください。

A いぼ「疣贅(ゆうぜい)」はヒトパピローマウイルスによる感染症です。
手足などに硬い結節ができます。放置すると拡大、数も増えてきます。手のひらや足底
では盛り上がらないので、一見「ウオノメ」のように見えます。
治療は「いぼ」の個数、部位、患者さんの年齢等に応じ下記の治療法の中から1~数種類を選択します。

(A~Cは日本皮膚科学会の診療ガイドラインに記載された推奨度。)

1)液体窒素による凍結療法(A):もっとも一般的な治療法です。スプレーや綿球でいぼを凍結させると、数日後に表面に黒いかさぶたができ、かさぶたが取れると少し小さくなります。1~2週毎に繰り返し治療することが必要です。かさぶたができた際には抗菌薬を塗布します。

2)サリチル酸外用(A):自宅でスピール膏を塗布します。

3)ヨクイニンエキス内服(B):ハト麦種子から抽出したエキスの錠剤または散剤を内服します。

4)接触免疫療法(B):SADBEやDPCPで「かぶれ」をおこし免疫力を高める方法です。

5)活性型ビタミンD3外用療法(C):いぼにビタミンD3外用薬を塗布します。(保険適応外)

6)当院では行っていませんが、局所麻酔後に炭酸ガスレーザーや電気メスで焼灼する方法(B)もあります。

アトピー性皮膚炎の治療法について教えてください

ここアトピー性皮膚炎はアレルギー体質のある人に全身左右対称性にかゆみの強い湿疹が慢性的に続く皮膚病です。冬はかさかさと乾燥し、夏は汗で赤み、痒みが強くなります。
乾燥肌すなわち皮膚のバリア障害に対して、保湿剤(ワセリン、ヒルドイド、尿素など)によるスキンケアを行います。さらに皮膚で起こる炎症を抑える目的で、ステロイド外用剤や軟膏を用います。また皮疹のかゆみを抑える内服薬すなわち抗アレルギー薬を内服します。発疹が全身の広範囲におよび赤くはれ上がった状態(紅皮症といいます。)になった場合はステロイドを短期間内服することもあります。またステロイドの外用剤でコントロールできない時には、紫外線療法(ナローバンドUVB)を行うこともあります。

「みずいぼ」はどうしてできるのですか?

水いぼ「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」はみずいぼウイルスによる感染症です。プールや風呂などで感染することがあります。表面がつるつるして中央が少しくぼんだ「いぼ」が小児の体幹、四肢に多発します。自家接種で数が増えていきます。周囲に湿疹を伴うこともあります。普通の「いぼ」と違って、手のひらや足底にはできません。水いぼウイルスを抑える塗り薬はありません。当院ではペンレスという麻酔テープを2時間前に貼って痛みを感じなくした状態で水いぼの先端部をピンセットで摘み取る処置を行います。アトピー性皮膚炎や湿疹が合併する場合は湿疹の塗り薬も併用します。

最近「足の裏のホクロ」に気付きました。以前、ホクロは癌になると聞いたことがあります。手術したほうがいいのでしょうか。

足底の悪性黒色腫(メラノーマ)は黒褐色の斑点で始まるので、ホクロと区別が難しいことがあります。不規則な形、縁が不鮮明、色に濃淡がある、大きさが6mm以上、盛り上がりがある、急速に増大するなどの症状がある場合、メラノーマの可能性が高いといわれています。皮膚科医は特殊な拡大鏡(ダーモスコピー)で診察し、初期メラノーマの可能性がある場合は手術し病理組織検査をします。一度皮膚科専門医にご相談ください。

「爪水虫」は、飲み薬を飲まないと治らないと聞きました。飲んだほうがいいでしょうか。

爪水虫は白癬菌というカビが爪に感染して起こります。最初は白く濁り、やがて厚くなったり、ぼろぼろと欠けたりします。飲み薬が効果的といわれています。毎日連続して3か月飲む薬(ホスラブコナゾール)6ヶ月飲む薬(テルビナフィン)と1ヶ月ごとに1週間ずつ3回飲む薬(イトラコナゾール)の3種類があります。いずれも2~3ヶ月ころからきれいな爪が生えてきます。ただし肝臓の悪い方やほかの薬を飲んでいる方は飲めないこともあります。
最近、硬い爪にも浸透する爪水虫専用の液体の塗り薬も発売されました。白く濁っているだけで変形が軽い場合は数か月以上毎日塗り続けることで治癒することもあります。どの治療法がいいかは、爪水虫の重症度、年齢、ほかの病気にかかっていないかなど総合的に判断して決める必要があります。一度皮膚科専門医にご相談ください。

美容院で後頭部に「脱毛」があるといわれました。どのような治療法があるのでしょうか。

円形の脱毛が1個~数個生じる「円形脱毛症」は塩化カルプロニウム(フロジン液)や副腎皮質ホルモン剤ローションの塗布、セファランチンの内服で治療します。脱毛した毛包はしばらく萎縮(休止期)しているので、発毛してくるのに3ヶ月くらい要します。
難治性の脱毛は、局所免疫療法(SADBE療法やDPCP療法)や紫外線治療を行うこともあります。また、全身性疾患(甲状腺疾患、感染症、膠原病など)が原因で脱毛を起こすこともあります。多発するとき,急速に拡大するときは血液検査が必要です。

手のひらに汗をかきます。緊張すると余計に汗をかきます。治す方法はありますか。

掌蹠多汗症でしょう。最も簡便な方法は塩化アルミニウム水溶液外用です。入浴後に塗布し朝洗い流します。12歳以上の方ですとアポハイドローションという外用薬が2023年6月から使用できるようになりました。そのほか、精神安定剤や抗コリン薬内服、さらに当院では行っていませんがイオントフォレーシス、ボツリヌス毒素の局所注射、胸部交感神経切除などが行われることもあります。

年に数回、風邪をひいた後などに、口唇に「熱の吹き出し」ができます。どのような治療法がありますか。

ウイルスによっておこる単純ヘルペスだと思います。口唇にほてりやピリピリした疼痛などの前駆症状があり、やがて赤くはれ小水疱を生じ、かさぶたになり治っていきます。治療はウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を数日間内服および塗布します。精神的・肉体的ストレスにより体力や免疫力が低下した時に発症することが多いと言われています。日光曝露などにより皮膚の抵抗力が低下し発症することもあります。

寒い日の朝、洗顔時に指先が白くなりしびれます。診てもらったほうがいいですか?

寒さなどの刺激で手指の血管が収縮して一時的に血行が悪くなり、手指が白くなる現象をレイノー現象といいます。通常示指、中指など数本の指が白色化し時間経過とともに紫色、赤色と変化し元に戻ります。痺れや疼痛を伴うこともあります。
強皮症やエリテマトーデスなどの膠原病、大動脈の病気などが原因となっていることもあるので、詳しく検査する必要があります。

紫外線に当たると皮膚にはどのような影響を受けますか?

紫外線は皮膚に日焼けを始め、シミ、しわ、いぼ、さらには皮膚がんなどを引き起こします。また免疫力が低下し、ヘルペスなどウイルスへの抵抗力も弱くなります。海水浴やハイキングなどのレジャーだけでなく日頃からしっかりと紫外線対策を講じることが健康な身体や肌を守るうえで大切です。紫外線防御には遮光材(サンスクリーン)が重要です。使用時には発汗を考えて2~3時間ごとに塗りなおしたり、塗布量は手の甲で0.2g、腕全体で1g程度を目安に充分量を塗るなどの注意が必要です。遮光剤だけでは紫外線は防げないので、衣服、帽子、日傘、メガネなどにも気をつけましょう。

暑くなったころから、両手指あの側面などにかゆみを伴う小さな水ぶくれができ、皮がめくれてきます。水虫でしょうか?

汗疱状湿疹という手湿疹の一種だと思います。足の水虫が手に感染することもあるので、顕微鏡で真菌感染がないか確認する必要があります。真菌感染症でないことが確認されれば、ステロイドや尿素などの外用剤で治療します。

アレルゲン検査について教えて下さい

少量(約3ml)の採血で39項目のアレルゲンに対する特異的IgEを測定できます。蕁麻疹やアレルギー性鼻炎と診断されても問診などで原因が特定できない場合に保険適応となります。3割負担で約4830円の費用がかかります。
測定できるアレルゲンは以下の通りです。吸入系(ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト1、ネコ、イヌ、ガ、ゴキブリ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ、アルテルナリア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア、ラテックス)食餌系(卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、ピーナッツ、大豆、ソバ、ゴマ、米、エビ、カニ、キウイ、リンゴ、バナナ、マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉)

金属アレルギーの検査について

指輪やネックレスでかぶれた、あるいは歯科治療で金属を使用してから皮膚炎が悪化したなど金属アレルギーが疑われる場合に行います。上背部にパッチテスト用金属試薬を貼り付け、48時間後に皮膚に変化が現れるかどうかを調べます。貼付中は入浴、シャワー、汗をかくような運動は出来ません。したがって夏季は検査出来ません。検査当日、2日後、、場合によっては3日後、7日後に受診していただく必要があります。診察日の関係で、検査可能な曜日は火曜、木曜、土曜となりますので予約をお願いします。

検査できる金属は以下の通りです。アルミニウム、コバルト、スズ、鉄、白金、パラジウム、マンガン、インジウム、イリジウム、銀、クロム、ニッケル、亜鉛、金、銅です。3割負担で約800円の費用がかかります。

ニキビの治療法を教えて下さい。

ニキビでは毛穴が詰まり、毛穴の中に皮脂がたまって小さなボツボツ(面ぽう)を発症します。さらに「ニキビ菌」などが増殖することで炎症が起こり赤いボツボツ(丘疹)や膿がたまった状態(膿疱)になります。治療には毛穴のつまりをとるアダパレンや過酸化ベンゾイルという成分を含む外用剤や、ニキビ菌の繁殖を抑える外用薬や内服薬を用います。慢性の経過をたどり治りにくい場合には漢方薬なども併用します。ストレス、紫外線、過剰な皮脂、乾燥、マスクや毛髪の接触など皮膚への刺激がニキビ悪化の原因となりますので洗顔、スキンケア、生活習慣の改善なども重要です。